卒入式のよそゆきから普段着まで!フォーマル⇔カジュアル ろっこや流スタイリングコラム

”よそゆき”きものをフォーマル・カジュアル・シーンごとに楽しむ!

卒入式やお呼ばれ、結婚式などで着用する「訪問着」や「付け下げ」
エレガントな着こなしから、遊びゴコロのあるカジュアルダウンスタイルまで、TPO別に楽しんで♪

ろっこや代表
ハミルトンヒロコ(以下ろっこ)

伝統とモダンを融合させたデザインが人気のきものブランド〈ろっこや〉代表

前職は美容師として雑誌やショーなどのヘアメイク・着付を手がける
「その人の持つ魅力を引き出す」ことをモットーとしている

ーお子様の卒業式や入学式にあわせて、きものを誂える、という保護者の方も多いかと思うのですが、
いまいち「訪問着」「付け下げ」など、違いがわかりません。


ろっこ

それでは、簡単に「訪問着」「付け下げ」のご説明から。以下の写真をご覧ください♪

訪問着

肩、袖、胸、裾など、縫い目をまたいで絵柄がつながった模様になっています。
結婚披露宴、パーティー、お茶会、お宮参り、七五三、卒業式、入学式など、フォーマルからセミフォーマルなシーンで活躍します。

付け下げ

贅沢品が禁止された戦時中に、訪問着の代わりとして登場。柄が訪問着に比べてシンプルであることが特徴です。
絵柄が縫い目でつながっていないものが多数を占めますが、近頃はデザインも多様化し、一見、訪問着と見分けがつきにくいものも。
ちなみに、参考写真の付け下げは縫い目で線が繋がっていますが、訪問着ほど複雑ではありません。
付け下げは、色柄によって礼装からカジュアルまで・幅広いシーンで活躍します♪

ーフォーマル用のきものは、普段に着ても良いのでしょうか?


ろっこ

色やデザインによってカジュアルシーンにも◎

豪華な装飾が施されている訪問着や付け下げは、カジュアルになりにくいものもありますが、
本日ご紹介するきものは、帯や小物まわりのスタイリングでシーンを広げることができます♪

洋装のドレスと同じように考えていただいて・・・、宝石や刺繍、レースがふんだんにつかわれたゴージャスなドレスと、シンプルなデザインのドレスは、同じ「ドレス」でも多少着ていく場所が変わってきますよね。

というわけで、同じきものをよそゆき⇔カジュアル2バージョンでスタイリングしてみました!
よそゆきバージョンは、「お子様の卒入式参列」を想定。すっきりと上品なイメージで♪
ろっこやの商品だけではなく、私物の袋帯などもあわせて、バリエーション豊かに♪
カジュアルバージョンは、「ふだんのお出かけ」や「カジュアルなパーティ」を想定しています。

ROCCOYA Style 01-訪問着:Baby Taj<ベイビータージ>ブルー


ろっこ

よそゆきスタイルでは帯周りを重厚に、小物はすっきりと
カジュアルスタイルでは、帯を同系色に、小物をビビットな色で攻めて

流れる文様が美しい正絹の訪問着。左二つは、よそゆき、右はカジュアルスタイルです。

よそゆきスタイル

帯周りに選ぶ色柄でぐっと印象が変わります。左の袋帯は渋い柳色ベースに金彩と螺鈿が施され、重厚感と深みがあります。
右の袋帯は、「寿」などおめでたい文字が織り出され、明るいプラチナ―ルドが華やかながらもすっきりとした印象に。

草履バックセット、半衿、伊達衿はプラチナや白ですっきりと。
きものと帯が華やかなので、小物で「引き算」してバランスよく◎
「もっと控えめにしたい」という方は、衿を塩瀬の白に変えてもGOOD♪

カジュアルスタイル

カジュアルスタイルでは、帯を同系色の青系で揃えて、ワンピースのような統一感を。
帯の柄、半衿、帯締め、クッション下駄にビビッドな赤系カラーをあわせて、コントラスト強めに♪
半衿の色が濃い色になるだけで、カジュアルな印象になります◎
下駄は、本来訪問着にあわせるにはカジュアルすぎるのですが、クッション下駄は一見草履のようにも見えるので、絶妙な「ハズし」が効いてきます。

洋装でイメージすると、「繊細なドレスにレザージャケット、ブーツ」みたいな。「訪問着だってわかってるけどあえて着てます」という姿勢が、私は好きです(笑)

スタイリングアイテム

訪問着:Baby Taj<ベイビータージ>ブルー>
半衿:ポリエステル刺繍半衿:プラチナ
伊達衿:<チートラッカ>ブラック×シェル
袋帯:螺鈿・スタイリスト私物
帯揚げ:銀糸織り込み 波染分け:炭濃淡
帯締め:礼装銀糸 暈し:鼠水
草履バッグ:レンタルオプション商品(非売品)
その他小物:スタイリスト私物

訪問着:Baby Taj<ベイビータージ>ブルー>
半衿:ポリエステル刺繍半衿:プラチナ
伊達衿:<チートラッカ>ブラック×シェル
袋帯:スタイリスト私物
帯揚げ:Dizzy:ラベンダー×ラメ
帯締め:綾竹組柿渋
草履バッグ:レンタルオプション商品(非売品)
その他小物:スタイリスト私物

<ベイビータージ>ブルー
インドのムガル建築から着想を得てデザイン
ろっこやオリジナル正絹訪問着


ROCCOYA Style 02-付け下げ:<アシュラフ> 加寿上げ-KAJUAGE-


ろっこ

よそゆきスタイルでは大胆な柄ゆきの袋帯に畳表草履でクラシカルに
カジュアルスタイルでは、兵児帯2本使いでゴージャスに!

地紋のダマスク柄の艶感が美しい正絹丹後縮緬に、熟練の職人が一本ずつ手描きした裾の横縞ラインがモダンな付け下げ。シンプルなデザインはどんな帯とも相性バツグン◎

よそゆきスタイル

左の帯は、アンティークの丸帯を袋帯に仕立て直したもの。アンティークならではの大胆なデザインがモダンで華やかな印象に。
右の唐織の袋帯は、黒の地色がカラフルな色使いをひきしめてクールな印象に。
淡い色の小物づかいで上品に。

畳表の草履はアンティークやモダンなスタイリングともあわせやすく、きもの好きにとっては憧れの履物♪
踵が高いものを選ぶと、足長効果も◎
鼻緒次第でフォーマルからカジュアルまで幅広いシーンで活躍します。
帯揚げ帯締めは、色は控えめに、地紋の質感にこだわって。

カジュアルスタイル

カジュアルスタイルでは、黒の刺繍がはいった半衿とラメが煌く伊達衿で個性的にチェンジ♪
ラメがはいったアイテムや、エナメル草履、ビーズバッグなど、艶のある質感をプラスして華やかにしつつも、色数を抑えてることで都会的でスタイリッシュな印象に。
差し色の赤いしごき兵児帯が、アクセントに映えます◎

スタイリングアイテム

付け下げ:加寿上げ
半衿:ポリエステル刺繍半衿:プラチナ
袋帯:アンティーク・スタイリスト私物
帯揚げ:金糸織り込み紗綾
帯締め:礼装銀糸 暈し:薄黄×青磁×薄桜
草履:畳 野崎表・三の七
バッグ:レンタルオプション商品(非売品)

付け下げ:加寿上げ
半衿:ポリエステル刺繍半衿:プラチナ
袋帯:スタイリスト私物
帯揚げ:銀糸織り込み波染分け:薄鼠×銀鼠
帯締め:さわらぎ冠組:臙脂
草履:畳 野崎表・三の七
バッグ:スタイリスト私物

加寿上げ-KAJUAGE-
お好みの色で完全オーダーメイド
世界に一枚だけのとっておきを


ROCCOYA Style 03-小紋<アシュラフ> 二色ぼかし/ラベンダー×エメラルド


ろっこ

よそゆきスタイルでは春にぴったりなキレイ色で華やかに
カジュアルスタイルでは、ダークトーンでまとめてカッコよく!

華やかなぼかし染めの小紋。本来はカジュアルシーン向けですが、色無地感覚で、帯をランクアップしてよそゆきに♪

よそゆきスタイル

左の帯は、桜色ベースに亀甲に鳳凰や桐、菊などの吉祥文様が織り出された袋帯。淡いパステルカラーの小物づかいで、瑞々しく可愛らしい印象に。
右の袋帯はプラチナ糸を織り込んだシンプルながらも高級感のある袋帯。爽やかな色の小物をあわせて、上品な印象に。

きものや帯が華やかなので、草履やバッグ、半衿は色味を抑えて上品に◎
エクリュベージュの柔らかい色味が、真っ白よりも優しい印象に、肌に馴染みます。
淡く優しい春のイメージで、若々しく華やぎます♪
もう少し控えめにしたい場合は、黒羽織をプラスすると、落ち着いた印象になります。

カジュアルスタイル

カジュアルスタイルでは、ダークトーン、パイソンの小物をあわせてクールでミステリアスな印象に。
鮮やかカラーにコントラストの強い色やアイテム。兵児帯を変わり結びに、三味型のクッション下駄で「粋」なイメージをプラス。
アート施設や、観劇などのお出かけにいかがでしょう♪

スタイリングアイテム

きもの:Ashraf<アシュラフ> 二色ぼかし
半衿:ポリエステル刺繍半衿:エクリュベージュ
袋帯:スタイリスト私物
帯揚げ:唐織:ピンク
帯締め:礼装銀糸 暈し:若草×ピンク
草履:小判型四段重ねホワイト
バッグ:レンタルオプション商品(非売品)

きもの:Ashraf<アシュラフ> 二色ぼかし
半衿:ポリエステル刺繍半衿:エクリュベージュ
袋帯:スタイリスト私物
帯揚げ:金糸織り込み斜め暈し:薄紫
帯締め:冠組 リバーシブル:薄水色×薄草
草履:小判型四段重ねホワイト
バッグ:レンタルオプション商品(非売品)

<アシュラフ>二色ぼかし小紋
世界に一枚の華やかなお出かけ着
ぼかしの色をお好みで選んで染められます♪


ー衿と帯でがらりと印象がかわりました!いろいろなシーンに活用できそうです♪


ろっこ

そうなの!私はよく訪問着や付け下げに兵児帯をあわせて普段に着ています♪
もちろん、結婚式や式典など、フォーマルな場所では「格」を大切にするべきです。そこはしっかり守りましょう。
でも、普段のお出かけや、レストラン、観劇、カジュアルなパーティなどは、ファッションとして、自由に楽しんでよいのでは?と思います。
「わかっててあえてしています」という説得力があれば、何も恐れることはございません(笑)
色々な考え方、捉え方があります。ルールも時代によって変わってきます。「自分のための装いか、お相手を敬う装いか」。
卒入式やフォーマルシーンでのきもの選び、またはお手元にあるきもののコーディネートの参考に。
様々な選択肢の中で、「楽しい!」「素敵!」と思っていただけるご提案のひとつになっていたら、幸いです♪
組み合わせや格について、不安な場合はイベントや店舗にて、是非お気軽にご相談くださいませ♪

ーありがとうございました。次回のコラムもどうぞお楽しみに!

ろっこや

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