<ろっこや×TSUBAKIAN>スタイリング対談 vol.5

同じきものを、同じモデルで 異なるアプローチで「魅せる」

ろっこやのきものを<ろっこや>・<TSUBAKIAN>の2ブランドがスタイリング

モデルを務めたのは、TSUBAKIAN モリタマミさん
それぞれのスタイリングテーマやポイントを語ります!


ろっこや
ハミルトンヒロコ(以下ろっこ)
伝統とモダンを融合させたデザインが人気のきものブランド〈ろっこや〉代表

前職は美容師として雑誌やショーなどのヘアメイク・着付を手がける
「その人の持つ魅力を引き出す」ことをモットーとしている

TSUBAKIAN
モリタマミ(以下マミ)
スタイルアップコンサルタントとして、パーソナルカラー、骨格診断、着付レッスン、ポージングレッスンなど、なりたい自分になるサポートを行う
オリジナルブランド〈TSUBAKIAN〉では、【美しい装いを心がける】 をコンセプトに、デイリーに使えるアイテムを取り揃える


ろっこ
約1年ぶりのマミさんとのコラボ撮影!お待たせしました♪
同じきもの、モデル(マミさん)をろっこや・TSUBAKIANがそれぞれスタイリングして、印象の違うルックを表現する、というコンセプトの撮影企画。
今回は、ろっこやの新作きものbrume<ブリューム>2色+dahlia<ダリア>の3ルック♪
(brume新作は本当は3色なのですが、1色は仕立てが間に合わず・・・涙 次回にご期待ください)

マミ
久々の撮影、今回も楽しかったね~!
今回もろっこや、TSUBAKIANそれぞれのスタイリングをお楽しみいただければ幸いです♪

ーそれぞれのブランドのスタイリングのテーマや特徴は?


ろっこ
ろっこやのスタイリングは「妖艶」「モガ」「小悪魔風」と各ルック毎にテーマを変えました。
着付けもそれぞれのテーマに沿って、衿の角度、帯位置など拘っています。
それぞれ印象をガラリと変えて、マミさんのポテンシャルの高さが余すことなく発揮された3ルックになりました♪


マミ
TSUBAKIANのスタイリングは、新作のbrume2色は「クラシカルな双子姉妹」dahliaは「都会の夜遊び」をイメージしています。
今回は、「ワンピース感覚で着るきもの」「普段使い」をポイントにしていますので、コーディネートを組む際の参考にしやすいかと♪

ー各スタイリングの詳細をお聞かせください

ROCCOYA Style ― brume<ブリューム>佳夕(かせき)


ろっこ

テーマは<妖艶>

キュートなイメージのあるマミさん。
そのマミさんをキュートの対局である妖艶にするのは本当に楽しかった!

深い赤紫〜薄紅藤色の暈しが美しいきものを、しっとり着こなしてもらいました。

煌びやかな兵児帯を2本使いで片流し結びに、後ろには房がピンクの丸ぐけも飾って。
動きに沿ってきらり、ひらりと揺れる様は、流麗な魚の尾ひれのようにも見えます。
帯締めにビビットなピンクをいれることで渋くなりすぎず華やかに。

ゴージャスな刺繍の半衿を3枚重ね・衿合わせはシャープに・衣紋を大きく抜いて「姐さん」風にしつつも、帯位置は高く。
帯幅も大きくとって「粋」になりすぎないよう、マミさんの本来の上品さとのバランスを活かして。

ヘアは、前髪をセンターでわけて大きなシニヨンヘアに。
螺鈿の大きな簪が映える美しいうなじにうっとり・・・。

メイクは、「切れ長アイライン・唇は薄めに口角をあげて・リップは赤」というリクエストをお伝えして、マミさんにお任せ。しっとりオトナなイメージに仕上げてくれました♪

マミ
妖艶で華やかなイメージを出すためにがっつり付けまつ毛をつけました!

人の手を介して完成するルックは、いつもめちゃくちゃ楽しみで、大船に乗った気分で挑んでおります。
スタイリストろっこちゃんの手腕で、センターパートの盛り髪にしてもらったことが新鮮でした♡
半衿三枚重ねの着付け、カッコよかったなー。

ろっこ
衣紋を大きく抜いたり、「妖艶」のイメージって一歩間違うと「下品」になりがち。そうならないよう、足し算と引き算。全体のバランスをよく見て仕上げました♪

TSUBAKIAN Style ― brume<ブリューム>佳夕(かせき)


マミ

古典柄×モダンワンピースコーデ 普段使いに寄せて

沙綾型というとトラディショナルな印象の地紋ですが、鮮やかなグラデーションにすることできっと新鮮なイメージになるだろうな、と。
得意のワンピース感覚(ワンカラーコーデ)のスタイリングで、普段使いのヒントになるようなルックを作ってみました。

シェイドレースシリーズの半衿と帯揚げに、Tsubakianの今期の新作ファンシーツイード兵児帯。
兎毛フェルトのカチューシャを合わせることで、ツイード兵児帯の温かみとリンクさせて、着物の生地感とのバランスを取りました。

甘くなりすぎず、全体的にエレガントな印象になったかと♪

ヘアは、ウエーブのウィッグをクルクルとピンで留めてクラシカルな雰囲気に。
イメージは「ラッキー嬢ちゃん」高野文子先生の漫画に出てくるデパートガールです♪
メイクはくすみピンクのアイメイク、リップはローズ系。テーマの通り、デイリーに愛用しているコスメたちでまとめました。

ろっこ
シャープな印象になりがちな素材を、半衿たっぷり、レース・くすみカラーで柔らかく魅せるという、流石マミさん!なスタイリング。
上品から妖艶まで、イメージを変えて楽しめますね♪

着付けポイント


ろっこ
ろっこやスタイリング(右)では、衣紋を大きく抜いている分、色っぽくなりすぎないように、あえてしっかりと補正を入れています。
帯結びは、リボンのようにキュートにならないように、シャープだけどゴージャスな片流しで艶っぽく。

マミ
TSUBAKIANスタイリング(左)の着付けはいつもの自分らしいスタイル。
半衿たっぷり・補正なしで柔らかいラインを出しています。
帯揚げはバタフライ結び、帯はボリューム感のあるアバニコ※結びにして華やかに。
エレガントキュートにも、クールにもスタイリング次第で印象が変わりますね♪

※アバニコ結び・・・雑誌KIMONOanne.(キモノアン )vol.2【レイコの兵児帯レッスン】に掲載されている帯結び

ROCCOYA Style ― brume<ブリューム>夢現(ゆめうつつ)


ろっこ

テーマは<モガ>

シャビーシックな墨色〜生成色のきものを、セピア×ブラックの色合わせでモダンなスタイリングに。

「モガ」・・・モダンガールの略。1920年代に流行したヨーロッパやアメリカの洋装分化を取り入れた、当時最先端の女性のことを指す。

フランスの生地で作ったセピア色の艶感がある薔薇の兵児帯を後見結びアレンジですっきりハンサムなイメージに。

柔らかい着姿になるよう、あえて帯板を抜いています。
太い丸ぐけが帯に沿って美しい陰影を生み出して、どこか儚げな印象に。

半衿、帯締め帯揚げ、草履はブラックで統一して色味を抑えることで、きものと帯の美しさをより引き立てて。

ヘアは、黒髪ショートヘアにクロッシェ帽。
足元をレースにすることで、和洋折衷なイメージと透明感をプラス。

マミ
メイクは、モガスタイルには「知的で聡明な雰囲気」が合うのではと思い、ヌーディーなオレンジやベージュを基調にすっきりと仕上げました。
セピア調のシックでクラシカルなスタイリングは、自分でも取り入れてみたいスタイル!
撮影中は、「宝塚でこんな役の人おるよね、主役じゃないけど演技派で、お芝居のキーパーソン。ポスターのポーズはこんな感じ。」と俄然ノリノリで演技派女優気取りになったのが楽しかった。(笑)

ろっこ
マミさん、すっとした立ち姿が指先まで格好良くて。
本当に観劇しているみたいな時間だった!ポテンシャルが半端ない・・・!

TSUBAKIAN Style ― brume<ブリューム>夢現(ゆめうつつ)


マミ

古典柄×モダンワンピースコーデ マスタードカラーをポイントに

クラシカルな双子姉妹をイメージしているので、1ルック目の佳夕(かせき)とテーマ、帯結びは同じです。アイテムも、同シリーズの色違いでミラールック♪
色味の印象でよりシックでクラシカルな印象になったかと思います。

シェイドレースシリーズの半衿と帯揚げに、Tsubakianの今期の新作ファンシーツイード兵児帯。
マスタードイエロー・ベージュカラーでこっくりと温かみのある印象に。

ヘアは佳夕(かせき)のルックと同じでですが、メイクは全体の色味に合わせてチェンジ。
アイメイクにマスタードカラーをプラス、リップはテラコッタカラーに。

ろっこ
スタイリング、帯結び、ヘアは同じだけど、色で全然印象が変わる!
マスタードイエローのような濃い色でコントラストをつけると、明るい印象になりますね。
儚い色を可愛らしく着ることもできる。色遣いって本当に大事・・・!

スタイリングアイテム

ROCCOYA

きもの:brume<ブリューム>夢現(ゆめうつつ)
半衿:TSUBAKIAN シアーアロー ブラック×ブラック★恵比寿KIMONO ROCCOYAでも取扱中♪
兵児帯:バラ
帯揚げ:TSUBAKIAN magatama 黒紅梅★恵比寿KIMONO ROCCOYAでも取扱中♪
草履:エナメル四段重ね:オニキス
その他:スタイリスト私物

着付けポイント


ろっこ
ろっこやスタイリング(右)では、先ほども書きましたが、柔らかい着姿になるように補正は少な目、帯板を抜いています。
女性らしいラインに沿った自然な生地の重なりが綺麗。
衣紋はほどよく丸みのあるカーブをつけて。

マミ
TSUBAKIANスタイリング(左)の着付けは、佳夕(かせき)と同じく半衿たっぷり・補正なしで柔らかいラインを出しています。

ROCCOYA Style ― Dahlia<ダリア>


ろっこ

テーマは<小悪魔>

大輪のダリアが咲き誇る、セオアルファ楊柳の夏・単衣きものDahlia<ダリア>。
何年か前から発売しているのですが、モデル写真が私(ろっこ)のものだけだったんです。

そのせいか、きもの自体に強い、クールなイメージを抱かれることが多くて。
「いやいや!!!可愛くも着れるきものなんです!」と。
それを今回はマミさんモデルで分かっていただけたかと思います(笑)

マミ
私も、「ダリアは自分には似合わないかな?」と思っていて。長身のろっこちゃんがカッコよく着こなすイメージが強かったのですが、
実際着てみると、あら不思議、「私イケるんちゃうん?」となった逸品。
皆様、ろっこやさんのきものは、先入観なく 是非着てみていただきたい。わたくしが実証します(笑)

ろっこ
ろっこやのきものは、着る人に寄り添うデザインを心がけているので、かっこよくも、可愛くもなれる!と自負しております。

では、スタイリング説明に戻ります(笑)

アイテムは同系色でまとめてワンピースコーデのように。
半衿・帯揚げはTSUBAKIANさんアイテムを使用。マットな質感でクラシカルに。

TSUBAKIANさんのアイテムは、ろっこやのアイテムをマイルドに着こなすのに相性抜群。
兵児帯はブラウン。帯周りの色身を抑えて華やかなきものを主役に。

ちなみに、ここにゴールドの刺繍半衿やラメの帯などを合わせると、「クール」「カッコいい」イメージになります。

帯結びは、バッファロ結び(角出し風アレンジ)。お太鼓部分をコンパクトにすると、粋な帯結びも可愛らしい印象になります。チョコレートの包み紙のようにも見えますね♪
「フランスのマリリン・モンロー」とも言われた仏女優、ブリジット・バルドーをイメージしたヘアは、ボリューミーなアップシニヨンにベビーバングス。サテンリボンを飾ってキュートに。
メイクは「目は丸く大きく・唇はぽってり」でリクエスト!

マミ
「イメージはブリジットバルドー」と指示が出ておりましたので、内心めっちゃ不安でした・・・。
佳夕のメイクの流れでがっつり付けまつ毛に、更に下まつ毛を描くという技を駆使して、バルドーに少しでも近づけるよう必死(笑)
メイクだけではイメージを近づけるのが大変だったバルドーも、
流石のろっこスタイリストの技術でみるみるうちにそれ風に仕上がったのに感動。

最後の撮影だったので、そのままのヘアメイクで帰ったけれど、なかなかの注目を浴びました(笑)

ろっこ
横を向くとよくわかる、ヘアと付けまつ毛のボリューム!
ヘアは、ボリュームたっぷりにしたかったのでウィッグを使用してアップヘアに。すき毛を入れずにこの仕上がりです♪
まさに小悪魔!なイメージを表現してくれました!可愛い~~~!と撮影中大盛り上がり!

TSUBAKIAN Style ― Dahlia<ダリア>


マミ

テーマは<都会の夜遊び>

真夏のダリアルックはちょっと不良っぽく、都会の夜の街に繰り出すイメージでスタイリング。
オトナになった「レオン」のマチルダや、パルプフィクションのミア。人物設定はそんな感じで。

気軽な夜のお出かけなので、ゆかたとして着用。

やんちゃなイメージを出すために、衣紋はたっぷりと抜いて。
mizutama兵児帯をコルセット風結びにして、更にボディコンシャスなラインに。

「真夏」のイメージを出すには・・・と試行錯誤し、ハートのサングラスでキッチュな雰囲気のルックにしてみました。

メイクは切れ長アイラインとマットな赤リップでクールなイメージに。
黒髪ぱっつんボブウィッグの威力強し!

サングラスを用いてのポージングは、中々難しかったです!

ろっこ
夏らしい開放感のあるルック!ウェッジソールのサンダルも遊びが効いていて良い!
スタイリングを黒と赤に統一して、強めだけど華やかさのあるルックですね。

スタイリングアイテム

ROCCOYA

きもの:Dahlia<ダリア>
半衿:TSUBAKIAN ワイヤーブレイド クラレット★恵比寿KIMONO ROCCOYAでも取扱中♪
兵児帯:疋田源氏香 琥珀(アンバー)
帯揚げ:TSUBAKIAN magatama 黒紅梅★恵比寿KIMONO ROCCOYAでも取扱中♪
草履:エナメル四段重ね:オニキス
その他:スタイリスト私物

TSUBAKIAN

きもの:Dahlia<ダリア>
兵児帯:TSUBAKIAN mizutama レッド×ブラック
その他:スタイリスト私物

着付けポイント


ろっこ
ろっこやスタイリング(右)では、衣紋は少し大きめに抜きつつも、衿のカーブは丸く。そして前の衿合わせの角度はきっちりとして、帯は胸高に。
カーヴィなラインを出すために、補正は少な目に、前から見るときっちりだけど、後ろ姿はちょっぴりセクシー・・・ここ、小悪魔ポイントです(笑)

マミ
TSUBAKIANスタイリング(左)では、ほっそりタイトに仕上げたかったので、こちらでも補整はなし。
いつもよりたっぷり衣紋を抜いています。

なりたいイメージで、補正の量、衣紋、衿合わせを少し変えてみると楽しいですよ♪
着付けで印象が変わりますので、過去の補正について語ったコラムも是非お読みください(笑)参考になれば♪

ろっこ
今回は、新作きものbrumeと、夏のきものdahliaのルックをお楽しみいただきました。
毎回、全然印象の違うルックを表現してくれるマミさんに感謝!

マミ
ろっこやさんの世界観をメイクやモデルで表現するのも楽しいし、TSUBAKIANテイストに寄せるのも楽しい!

クール、キュート、エレガント・・・なりたいイメージ、着姿の参考になれば幸いです。

ろっこ
今回撮影できていないbrumeのもう一色「玉響(たまゆら)」は、グラデーションを作るのに一番苦労したカラーでもあります。
テストプリントを見てマミさんが「こことここの色を合わせては?」とアイディアをくれて、実現しました♪

こちらのカラーはまた改めて撮影できたらいいな・・・!
その時には夏の新作もあるはずなので、次回のルックもお楽しみに♪
マミさん、またよろしくお願いします!

マミ
こちらこそ、よろしくお願いします!

ろっこ

マミ
次回もお楽しみに♪

brume<ブリューム>

艶感のあるしっとりとした沙綾型地紋に淡く儚いグラデーションが美しい暈しの小紋

brume(ブリューム)=フランス語で「霞」「霧」

左から「佳夕(かせき)」「夢現(ゆめうつつ)」「玉響(たまゆら)」

佳夕(かせき)= 美しい夕焼け
夢現(ゆめうつつ)= 夢とも現実とも区別がつかない状態
玉響(たまゆら)= 勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のこと。 「一瞬」「かすか」を意味する古語

Dahlia<ダリア>

ベルベットのような質感の【黒蝶】をベースに、美しく咲き誇る凛とした大輪のダリア

ダリアの花言葉は「優雅」「華麗」「感謝」
華やかさとインパクトはあるけれど、甘くなりすぎないカラー

ブランド紹介

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