<ろっこや×TSUBAKIAN>スタイリング対談 vol.3

同じきものを、同じモデルで 異なるアプローチで「魅せる」

ろっこやのきものを ろっこや・TSUBAKIAN2つのブランドがスタイリング

モデルを務めたのは、TSUBAKIAN モリタマミさん。それぞれのスタイリングテーマやポイントを語ります!


ろっこや
ハミルトンヒロコ(以下ろっこ)
伝統とモダンを融合させたデザインが人気のきものブランド〈ろっこや〉代表

前職は美容師として雑誌やショーなどのヘアメイク・着付を手がける
「その人の持つ魅力を引き出す」ことをモットーとしている

TSUBAKIAN
モリタマミ(以下マミ)
スタイルアップコンサルタントとして、パーソナルカラー、骨格診断、着付レッスン、ポージングレッスンなど、なりたい自分になるサポートを行う
オリジナルブランド〈TSUBAKIAN〉では、【美しい装いを心がける】 をコンセプトに、デイリーに使えるアイテムを取り揃える


ろっこ
マミさんとのコラボ撮影は、今回で4回目!
企画の内容としては、ろっこやのきものをマミさんモデルで着てもらうのですが、
同じきもの、モデルをろっこや、TSUBAKIANがそれぞれスタイリングして、印象の違うルックを表現する、という。
今回は、ろっこやの新作きもの<レオパードレース>3色!+おまけもございます♪

マミ
ろっこやさんのきものは、スタイリング次第でガラリと印象が変わるんです。
ろっこちゃんのシュッとしたスタイリングは当然のことながらブランドのイメージに合うんだけれど実はポップやキュートにも寄せられるし、お好み次第。
スタイリングって、合わせるアイテムはもちろん、ヘアメイクや着付けでも印象が変わるし、そういった意味で、それぞれの違いを楽しんでいただければ幸いです。

ーそれぞれのブランドのスタイリングのテーマや特徴は?


ろっこ
ろっこやのスタイリングイメージは、「1920~1950年代」オマージュ。
第一次世界大戦終結直後の欧米でうまれた「新しい価値観のファッション」。
この時代のルックや強くて美しいイメージがとても好きで・・・。

”きもの”のスタイリングに欧米ファッションイメージを投影しつつも、今回は洋装ミックスはせず、着方はシンプルにしました。

個人的に好きで集めているヴィンテージハットたちがやっと日の目を見ました笑


マミ
TSUBAKIANのスタイリングイメージは、「艶」「知的」「ガーリー」。3ルックとも印象をがらりと変えました!
普段、自分には着こなせない!と思う色も、半衿やヘアメイク、スタイリングでなんとかカタチになったかな?と自負しております♪

ー各スタイリングの詳細をお聞かせください

ROCCOYA Style ー レオパードレース レディ・ボルドー


ろっこ

1920年代風 <ギャルソンヌ・ルック> 新たな価値観との出会い

女性らしい艶感のあるボルドー×ネイビーのきものをシャープにすっきりと魅せ、同系色のTSUBAKIANの兵児帯でワンピースのようなシルエットに。

<ギャルソンヌ・ルック>とは、ショートヘア・くびれのないローウエスト・ストンとした直線的シルエット、が特徴のボーイッシュなスタイル。
「ギャルソンヌ」はフランス語の「ギャルソン(=少年)」を女性形にした造語です。
第一次大戦後、社会進出を果たしていく女性たちの活動的で自由なイメージをきものでの表現にチャレンジ。

真角芳町のクッション下駄、細蛇の鼻緒・手元のアクセサリーの直線的なライン。
きりりと揃ったモダンなショートヘアには、Christian Diorのヴィンテージターバンフェザーハット。
刺繍半衿の深い碧が、ハットとリンクして統一感を生み出し、マニッシュさの中にミステリアスな気高さを印象付けます。

メイクは全ルック、イメージをお伝えしてマミさんにお任せ♪
細眉でアイラインは強く、口幅狭目のボルドーリップ。

ボーイッシュなだけではく、艶感もある絶妙なバランスに仕上がったかなと思います!

余談ですが・・・このハット、私やろっこやスタッフが被るとファッションではなくギャグみたいになります。サイズ感の問題でしょうか・・・マミさんに素敵に被ってもらえて良かった(笑)

TSUBAKIAN Style ー レオパードレース レディ・ボルドー


マミ

ボルドーのワンカラーコーデで艶っぽくクールビューティーに

わたくし、この「ボルドー×ネイビー」の色味があまり得意ではなく・・・試着した際、「顔色わるっ!!似合わない!」となったんです(泣)

普段のイメージで着ると、なかなか苦労するこの色。どう料理するか悩みましたが、
ボリュームのある半カツラを使用することで何とかクリア出来そう!とスタイリングが閃きました。

「得意ではない色を着る」ためには、いつもとヘアメイクを変えたり、似合うアイテムを合わせたりして、自分に寄せていきます。

半衿、兵児帯。イヤリングや帯留めもきものと同系色の赤みカラーで統一、色味を抑えたオトナスタイルに。
足袋は白にすることできちんと感が♪
前髪を斜めに流し、ボリューミーでエレガントな半カツラを合わせることでクールビューティな印象に。
半カツラは「兎金」さんのもので、このスタイリングを完成させる要となっています。

メイクもいつもよりクールなイメージで、ボルドー系のアイシャドウにブラックのアイライナーをしっかり入れ、ダークカラーのリップは口角を上げ気味に、輪郭を暈してきつくなり過ぎないように。

着付け・帯結びのポイント


ろっこ
きものだけでなく、兵児帯もまったく同じものを使用したスタイリング。
でも、着付け、帯結び、ヘアメイクで全然印象が変わります。

ろっこやスタイリング(右)では、ボーイッシュさを出すために直線的なラインを強調。
補正をしっかりと入れて着付け、帯結びはシャープな後見結びアレンジを低めの位置に。
衣紋は浅めに、鋭角になるように拘りました。

マミ
衣紋の抜き具合は同じくらいだけれど、丸く抜くか、角度を付けて抜くかで印象が変わりますね。
TSUBAKIANスタイリング(左)では、女性らしいカーヴィなラインを強調。
補正は少なめに着付け、帯結びはリボン太鼓で可愛らしくすることで、「姐さん」の印象になりすぎないようにバランスをとっています。
もちろん、もっとシャープにしたい場合は銀座結びやお太鼓にしても◎

ROCCOYA Style ー レオパードレース レディ・オリーヴ


ろっこ

1930年代風 曲線ライン+強い女性像

マットな印象のオリーヴ×ブラウンのきものに、ベージュ、グレー、カーキのくすみカラーでマニッシュな組み合わせにしつつも、ヘアメイクとファーの質感で妖艶さを。
メンズの幅広な畳表草履にヌーディなレースの足袋を合わせて「ハズし」をポイントに♪

ウォール街で起きた金融大恐慌による影響を受けた1930年代。
それまでのシンプルでボーイッシュなファッションから、女性的な曲線ラインのファッションが復活します。髪型も、大きくウェーブしたヘアが流行。
同時に多様化も進み、女性のパンツルックが誕生。
ファーのコートにワイドパンツ、長い煙管を持ったほんのり退廃的なイメージは、厳しい時代を生きる女性たちの強さを表現しているかのようにも見えます。
ファッションはいつも時代を反映するわよね・・・私は近年、コロナ渦の反動で派手で不良的なファッションが流行るのではないかと予想しているけれど・・・今のところまだ来ていないかな?(笑)

マミさんは「自分には似合いにくいスモーキーカラー」と言っていた刺繍半衿モカ。
確かに、人によっては肌をくすませる色なのですが、今回はあえてくすませています!

大きくウェーブした豊かなヘア、エメラルドグリーンに輝く兵児帯、琥珀の帯留めの艶感、ファーのゴージャスさでバランスをとることで、渋すぎず、蠱惑的な魅力が出ているかと◎

ウェーブヘアで30年代風に。
メイクは、アイメイクをスモーキーに囲み、リップの幅を通常の唇幅に戻してもらっています。

TSUBAKIAN Style ー レオパードレース レディ・オリーヴ


マミ

テーマは<クイーンズ・ギャンビット>知的×シック

オリーヴ/ブラウン/ネイビーのカラーリングで知的な雰囲気に。

1950年代を舞台に、男性中心だったチェスの世界で頭角を現していく女性を描いたドラマ「クイーンズ・ギャンビット」をイメージしてスタイリング。
帯回りは、すっきりとさせるために帯揚げを入れず、七宝焼の帯留めを一粒飾って。

ブラウンのレース、ココアピンクの天鵞絨草履の華やかな質感もあいまって、控え目で上品ながら、決して地味ではない印象になったかと♪

チョコレートブラウンのヴィンテージハットにカールヘア。
渋めのカラーを纏うときは、髪色やメイクを華やかにすると、明るい印象になります。
メイクは、肌とリップはマットに仕上げ、ピンクブラウンのくすみカラーをアイメイクに。
チークは色味を感じさせないヌーディーカラーで自然に血色を上げて。

着付け・帯結びのポイント


ろっこ
ろっこやスタイリング(左)では、女性らしいラインでの着付けを意識しています。
補正は少なめに曲線を意識して、衣紋は大きめに抜いて艶っぽく。
帯結びはバッファロ結び(角出し風)。ファーショールを纏ったときに後ろ姿で帯が主張しないように、少し小さめにしています。

右の写真と同じマミさんのウィッグを借りて、カールを伸ばしてリッジを作り大きなウェーブにしています。くるくるとしたカールヘアだと少女的、大きなウェーブは大人の女性的に、と同じ巻髪でも印象が変わるのが面白いのよね♪

マミ
さすが元美容師・・・!器用やなぁ。

TSUBAKIANスタイリング(右)では、着付けは丸みのあるラインで。
帯結びは銀座結びですっきりとオトナっぽく。
ろっこちゃんスタイリングの写真と見比べるとわかりやすいのですが、帯の大きさ、バランスで後ろ姿の印象が変わります。
スタイリングに合わせてお好みで自分に合った大きさを探してみましょう♪

ROCCOYA Style ー レオパードレース レディ・ブラック


ろっこ

1950年代風 ニュールック オールブラックでドレスライクに

シャンパン×ブラックのきものに、レザーのような質感の兵児帯、ヴィンテージハット。
アイテムをすべてブラックで統一してドレスのような印象に。

戦争が終わり、ファッションの傾向も明るくなってきた1950年代。
なだらかな肩のラインと細いウェストから広がるロングスカートを特徴としたChristian Diorの「ニュールック」が大流行。マリリンモンローやオードリーヘップバーンなどハリウッド女優たちがファッションアイコンとして登場。
華やかでドレッシーなイメージをきものに昇華させられたら・・・ということで、 Diorリスペクトスタイリングです。

衿合わせは深くVラインに。星屑をちりばめたかのような煌めきの半衿が上品に縁取ります。
兵児帯は複雑な織りが交差するレザーのような質感。帯締めもブラックに、鼈甲の帯留めを惹きたてて。
エナメルの四段重ねの草履に黒レースの足袋でヌーディに。

ヘアメイクは、ヴィンテージハットを主役に、下目シニヨンにボリュームをもたせて。
リップはボルド―色。レース足袋から透けたペディキュアも同色で。
リップはオーバー気味に塗って往年の女優のように。
撮影時、マミさんには「眩しい目をしてコッチを見て!!」と指示。最高の表情をおさめることができました♪

TSUBAKIAN Style ー レオパードレース レディ・ブラック


マミ

ブラック×ガーリー

「オトナの女性」「クール」なイメージになりやすいブラックを、アイボリー・ブラウンと合わせてガーリーに仕上げました。
レディシリーズの中で一番レース感があるタイプなので、繊細さをいかに表現できるかに拘りたくて、レース帯揚げのスカラップを蝶々のようにひらりとさせて、大ぶりのレースのヘッドドレスを合わせることでスタイルが完成。

足元はレオパードレースと同じレースを使用したTSUBAKIANの草履♪バニラベージュのベースにブラウンのレオパードレースを重ねて優しいカラーリングに。

レオパード×レオパードという、強い印象になりがちな組み合わせも、色や質感でキュートに魅せることもできます♪

メイクはオリーヴのスタイリングと同じで、オレンジブラウンのリップはこっくりとしていて、オトナのキュートにぴったり。
ヘッドドレスは「ユミニク」さんのもので、とっておきの秘蔵っ子です♪

スタイリングアイテム

ROCCOYA

きもの:<レオパードレース> レディ・ブラック
半衿:ギャラクシー
兵児帯:アビス
草履:エナメル四段重ね:オニキス
その他:スタイリスト私物

着付け・帯結びのポイント


ろっこ
ろっこやスタイル(左)では、ドレスを着ているかのようなカーヴィーなラインを強調。
補正なし、帯結びをコルセットのように結んでウエストをきゅっと、曲線が美しく出るように。
衣紋は程よく抜いて、上品なラインを超えないように。

マミ
TSUBAKIANスタイル(右)では、体系を強調しすぎない、ふっくらとした着付けにしています。
可愛らしさを出したかったので、帯位置を少し上目に。アバニコ結びで華やかに。
後ろ姿からして全然印象違いますね!どちらもわたくしなのに(笑)
帯結びも着姿も、「どうなりたいか」というビジョンが見えると、選択肢が増えて楽しい♪

アバニコ結び・・・雑誌KIMONOanne.(キモノアン )vol.2【レイコの兵児帯レッスン】に掲載されている帯結び

ろっこ
新作きものレオパードレース6ルック、楽しんでいただけたでしょうか?
TSUBAKIANさんからは同じレースを使用した兵児帯と草履が販売中です♪全部揃えてコーディネートしても◎

Leopard Lace<レオパードレース>

艶感のあるサテン生地にレオパード柄のレースを「ボンディング加工」という技術をつかって重ねて、奥行きを表現。

ヒョウ柄すぎないエレガントなレースは甘くなりすぎず、様々なテイストの方にフィット。

うっとりとするような 重なり合う色のニュアンスは3色。
レディ・ブラックはきらびやかなシャンパンカラーに、ブラックのレース、
レディ・ボルドーはワインのようなこっくりとした赤紫に、ネイビーのレース、
レディ・オリーヴはアースカラー。深い緑にブラウンのレース。

ろっこやオリジナルセレクトカラーです。

スカラップの有り無しは、お選びいただけます♪

※撮影されたきもののスカラップの柄出しイメージは初期のサンプルのため、実際の仕様とは異なります 詳細はwebshopにてご覧ください

ー今回、実はもう1ルック撮影したんですよね


ろっこ
そうなの!「マミさんもう一着お願い!」と、ろっこやスタイリングのみですが、<カレイドスコープ>を着てもらいました。是非ご覧ください♪

ROCCOYA Style ー カレイドスコープ


ろっこ

1960年代 レトロポップ

ろっこやオリジナルデザインきもの<カレイドスコープ>。
艶感のあるブラックベースのきものの裾にはカラフルなモザイク文様。
同柄の帯、ヘアターバンを合わせてセットアップのように華やかに。

60年代は、カラフル・ポップ・ミニスカートが大流行。若者たちの間では、グラマラスよりもスレンダーが好まれ、日本でもブームを起こしたツィギーがファッションアイコンに。
経済成長と共に活気ある時代のイメージを、レトロポップなスタイリングで表現しました。

カラフルな七宝の刺繍鼻緒を挿げたこっぽりは足長効果も抜群◎

ヘアは前髪をぴったりとなでつけて、ヘアターバンはカレイドスコープ帯揚げを巻いています。大ぶりのイヤリングでレトロ感をプラス。

全体的にカラフルなアイテムを使っていますが、ベースカラーのブラックがまとまりを生み出します。帯締めは結ばずに長く垂らして動きを出して♪

マミ
メイクは、ごりごりの60年代風だとわたくしの顔の骨格的に違和感があるかなと思い、
ダブルラインは薄めにひいて、囲み目、まぶたにラメをのせました。もっと濃くても良かったかな・・・?と思いつつも、楽しい挑戦でした!

スタイリングアイテム

きもの:カレイドスコープ
半衿:ギャラクシー
半巾帯:カレイドスコープ参考商品
帯揚げ(ヘアターバンに使用):カレイドスコープ
下駄台:畳表桐下駄:こっぽり
鼻緒: 正絹 正絹刺繍 七宝 <ツボ:赤>

パイソン柄の地紋に、鮮やかなマルチカラー。上半身は艶感のあるブラック・袖、裾にかけて鮮やかなモザイク文様が流れるようにデザインされています
くるくると煌めく万華鏡(=Kaleidoscope<カレイドスコープ>)のように、あなたの動きに沿って上品に艶めきます

着付け・帯結びのポイント


ろっこ
着付けは、小枝のように細く一本のラインのようにしたくて。可能な限り曲線を排除して、胸の補正もいつもより強めです。

帯結びは半巾帯をすっきりと矢の字に。
こちらのカレイドスコープの半巾帯は、参考商品なのでまだ販売確定していないんですが、かわいいよね・・・

マミ
モザイクの大小の見え方が帯結びで変化して、本当にカレイドスコープ(万華鏡)みたい! 半巾帯はゆかたや小紋に気軽に結べるし、あったらええやん。

ろっこ
商品化、前向きに検討しまっす!

ー計7ルック。今回も「組み合わせ」だけでなく「着付け」や「補正」など、様々な角度での表現がありました。


ろっこ
今回もそれぞれの魅せ方が全然違って楽しかった~!
色の組み合わせや補正、着付け、ヘアメイクなど、少しでも参考になれば幸いです。

ろっこやのきものはかっこいだけじゃない着こなしもある、ということをお見知りおきを(笑)
表現してくれるマミさんにはいつも感謝です。毎回、骨折寸前みたいなポーズを強要してしまいますけれども(笑)

マミ
相変わらず鬼のポージング指導で絞られました(笑)

今回は「苦手な色」をどう着こなすか、ということもポイントに、参考になれば幸いです。

ろっこ
TSUBAKIANさんと一緒にイベント出店するときは、ブランドの垣根を越えて「お客様が欲しいもの・似合うもの」お探しするお手伝いをさせていただきますので、是非お気軽にご相談ください♪

コラムの感想やリクエストなどもお待ちしております♪
次回はどんなコラボになるかな?乞うご期待!マミさん、またよろしくお願いします!

マミ
こちらこそ、よろしくお願いします!

ろっこ

マミ
次回もお楽しみに♪

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